取扱説明書のイラスト・テクニカルイラストの作成の仕方は大きく分けて2つになります。
・図面から起こす
・トレースをする
※今回は3Dの話はなく人が作成する場合です。
もう少し詳しく説明すると…
図面から起こす
図面からイラストを作成することです。
図面を読むことにも知識とスキルが要ります。私は図面を読んでイラストに起こせるようになるまで木造建築→半年(高校の授業を含めたら3年半くらい?)、機械図面→3年くらいかかりました。
木造建築はイラストに起こす必要がなかったので図面から図面起こしになります。(2×4工法の図面を作成していたので主にバルーン壁・妻壁・フレームなどです)
機械は図面から(テクニカル)イラストにするので厳密なスケールなどはあまり関係ないです。(あるものもあります)
精密機械はとにかく図面の記述が多く、はじめは混乱しました。
今でも図面から全部1枚絵に起こすのは時間がかかります。
トレースをする
写真や下絵(*)をトレースする。わかりやすく言えば写し絵です。
しかし、プロがやるトレースは、そのままの写し絵ではありません。写し絵というのも語弊があります。
*テクニカルイラストレーターがロットリングを使って直接紙に描いてくれるもの。これはそのまま映して描いてよい
プロはそのまま写真トレースをしない
写真はどうしても対象物にパースがついてしまいます。
テクニカルイラストを作成するにあたり、欲しい写真を撮ることができるのはまれ。なのです。
写真が歪んでしまったり(パースがつく)、その他に説明したい部分が部品で隠れていたりします。
そんなパースがついた写真と説明したい部分が隠れた写真をそのままトレースしても何を説明したいかわからなくなります。
出来上がったイラストと写真を照らし合わせるとイラストの線と写真がズレています。
たまーに良い感じに写真が撮れることもありますが、それはウルトララッキーでした。
例:いいちことグラス
斜め上から写真を撮ったので、上から見下ろすようになっています。
グラスの底が口の部分より細くなっています(パースがついている)
これをそのままトレースすると…
こんな感じです。
これでも十分に伝わるイラストですが、パースを気にして描いてみます。
画面がスッキリしました。いらない線も消しました(グラス底の光り・ランチョンマットの模様)
テクニカルイラストレーターは、見やすいように考えてイラストを作成しています。
見えない部分をいかに自然に描くか
本来なら見えなるはずがない部分をイラストにする事があります。
ここが『テクニカルイラストレーターの腕の見せ所』です。
見えない部分を説明しやすいようにイラストにする。トレースできるはずがありません。そもそも見えない部分なので。
まとめ・トレースのようでトレースじゃない
結果としましてはテクニカルイラストのトレースは、トレースのようでトレースではありません。
テクニカルイラストレーターのトレースに関することが少しわかっていただけたでしょうか。
よろしくお願いいたします。
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ぬっきぃ
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